#79
夏休みはやっぱり短い
2024.08.30
- 三つ子の魂百までということわざがあるが、それが顕著(けんちょ)に表れる代表例は「夏休みの宿題」だとぼくは思っている。小学生のとき夏休みの宿題を7月中にほとんど終わらせていたタイプの人間は、大人になってもいろんなことをテキパキと要領よくこなしている。逆に最終日ギリギリまで手を付けなかったタイプの人間は、社会に出てもそういう仕事の仕方をしているケースが多いものだ。
8月も終わりに差し掛かった本日、我が探偵事務所を訪れ、今まさにぼくの目の前で泣きべそをかいているこの少年は、おそらく後者のタイプの人間なのだろう。話を聞くに、自由研究の課題がまだ終わっていないらしい。
- とある探偵
- どうしてこんな時期まで手をつけずに放っておいたの?
- 少年
- 放っておいたんじゃなくて、できなかったの
- とある探偵
- できなかった?
- 彼の説明によると、自由研究として天体観測を試みたものの、毎日どうしても夜遅くまで起きていることができずに寝てしまい、そして今日にいたるとのことだ。真偽のほどはわからないが、どちらにせよまぁなんとも可愛らしい理由である。
- 少年
- だから、天体観測の代わりに自作の謎解きを提出しようと思って
- とある探偵
- 謎解き?
- 少年
- 探偵さんに、謎がちゃんとできているかみてもらいたくって
- そういえば、ちょっと前にも小学生が作った謎解きの宿題を見てやったような気もするな…。これは最近の流行(はや)りなのか? というかそもそも、なんで探偵事務所に宿題の相談が来るんだ??
捜査を開始する