#74
湯けむり、謎解き、珍道中
2024.03.22
- 寒さもだいぶ弱まり、春本番までもう秒読みとなった今日この頃。ようやく暖かくなってきたという解放感も相まって、日頃仕事を頑張っている自分へのご褒美にと1泊2日で温泉旅行へと向かうことにした。土曜の午前に出発して電車を乗り継ぎ、昼過ぎには目的の宿に着いた。とにかくのんびりと過ごすことが今回の目的なので、賑(にぎ)やかな温泉街へは特に繰り出さず、チェックアウトまでこの施設内だけで過ごす予定だ。
到着した宿は昔ながらの趣もありながら隅々まで掃除が行き届いており、窓から見えるリバービューも絶景だ。フロントで受付を済ませ、ぼくが今日泊まる部屋へは仲居さんが丁寧に案内してくれた。とても品がありながら気さくな方で、部屋や温泉の説明が一通り終わったあともしばらく雑談が続いた。
- とある探偵
- ここ最近仕事続きだったので、こんな最高のお部屋に泊まれて嬉(うれ)しいです!
- 仲居
- あら、ありがとうございます。お仕事はどんなことをされているんですか?
- とある探偵
- まぁ探偵みたいなことをしておりまして…
- 仲居
- 探偵さん! 素敵ですね。ならきっとこのお部屋も楽しんでいただけるはずですよ…
- とある探偵
- ?
- 最後に言われた意味深な言葉が気にかかったが、仲居さんはそそくさと部屋を出ていってしまった。そして次の瞬間、ガチャリと鍵がかけられた音がした。まさかと思いドアを確認しにいくと、中からはどうドアノブを回しても開かない。閉じ込められてしまった。いや何故だ。
ふと、背後でテレビモニターがONになる音がした。振り返って見てみると、1枚の画像が表示されていたのだった。
捜査を開始する