#99
ちょっと面倒(めんどう)なお花見
2026.04.24
- 4月の終わり。桜の季節も終わりをむかえ、川沿いの並木もほとんどが葉桜になっていた。とはいえ、完全に花がなくなったわけではない。枝の先に名残(なごり)のように残ったわずかなピンク色が、春の最後の仕事でもするかのように風にゆれている。
そんな川沿いの遊歩道を、ぼくは特に目的もなく歩いていた。探偵(たんてい)という仕事は、いそがしいときは寝(ね)る暇(ひま)もないが、暇なときはおどろくほど暇だ。今日はまさに後者だった。事務所にいてもすることがないので、気分転換(てんかん)に散歩に出てきたのだ。
川辺の公園に差しかかると、なんとまだ花見をしているグループがちらほら見える。レジャーシートを広げ、弁当や飲み物を囲んで談笑(だんしょう)している。桜はもうほとんど散っているというのに、みんななかなかねばり強い。花より団子とはまさにこのことなのだろう。そんな光景をながめながら歩いていると、公園の一角にみょうな看板が立っているのに気付いた。
- 謎(なぞ)が解けた人だけ入れる
花見エリア
- どういうことだろう。花見に入場制限があるのもめずらしいが、謎解き付きとはずいぶん変わった企画(きかく)だ。看板のそばには腕章(わんしょう)をつけた係員らしき人物が立っている。ぼくが近付くと、にこやかに声をかけてきた。
- 係員
- こんにちは。挑戦(ちょうせん)してみますか?
- とある探偵
- これは、どういう仕組みなんです?
- 係員
- 簡単ですよ。謎を解いた人だけ、この奥(おく)の花見エリアに入れるんです
- そう言うと、係員は1枚の紙を差し出した。ぼくはその紙を受け取り、書かれている謎に目を通した。
捜査を開始する