「食欲の秋」という言葉があるが、そのように言われる由来には実はいろいろとあるらしい。収穫の時期でおいしい食べ物がめじろ押しだからという理由ももちろんそうだが、日照時間が次第に短くなっていくにつれて幸せホルモンの分泌量が少なくなり、それを食べることで補おうとするから、気温が下がり基礎代謝が上がるため食欲がその分増すからなどなど、それっぽい根拠がたくさんあるのだ。

そんな食欲の秋真っただ中のぼくは、今日のランチは絶対に「すし」にすると決めていた。先日テレビで、近所にあるすし屋が老舗の名店として大々的に紹介されており、これは行くしかないと楽しみにしていたのだ。しかし午前中の仕事を終わらせてそそくさとその店に向かうと、店の外にはとてつもない大行列ができていた。マスメディアの影響はやはり侮れない。

とある探偵

困ったなぁ……

すっかりすしの気分になっていたぼくは途方に暮れる。ふと昨年5月頃に足を運んだ回転寿司屋のことを思い出した。確か名前は「なぞずし」と言ったか…… そういえばこの近くだったはずだ、行ってみよう。

「なぞずし」の店内は割と空いていて、すぐに入ることができた。そしてこの回転ずし屋の妙なシステムを思い出す。店内にあるレーンには一切すしが流れておらず、カウンターのタッチパネルに表示される謎に答えることによってすしの注文ができるのだ。空腹のぼくは、席に着くなりタッチパネルをタップして謎を解き始めた。

捜査を開始する