#98
DM(どこから届いた?ミステリー)
2026.03.27
- ぼくの事務所の郵便ポストには、毎日これでもかというほどチラシやダイレクトメールが投函(とうかん)されている。近所の整体、税理士事務所、あやしげな投資セミナー、期間限定ランチのお知らせ、不動産の売却(ばいきゃく)相談。どれもこれも今のぼくには不要な案内だが、その中に請求書(せいきゅうしょ)や依頼(いらい)関係の重要な郵便物がまぎれこむこともある。だからぼくは毎朝コーヒーを片手に1枚1枚をていねいに仕分けるというルーティーンがあるのだが、なぜか全部の郵便物に目を通してしまうクセがある。キャッチコピーの妙(みょう)に感心したり、変な写真にツッコミを入れたり、たまに「この店、つぶれそうだな」と余計な心配をしたり。探偵(たんてい)という仕事柄(しごとがら)か、人の事情や裏側を想像してしまうのだ。
今日もいつも通り、山のような紙束をめくっていると、ふと指が止まった。1枚だけ、明らかに手触(てざわ)りがちがう。やや厚紙で、光沢(こうたく)もおさえめ。広告というより、招待状に近い雰囲気(ふんいき)だ。表には店名も写真もなく、代わりに奇妙(きみょう)な図形がえがかれている。どう見ても謎解(なぞと)きだ。
- とある探偵
- ふうん、ずいぶんこってるじゃないか
- そうつぶやきながら、ぼくはペンを取り、机に腰(こし)を下ろした。
捜査を開始する