


#54
動物園の真実
2022.07.29
- 汗も止まらぬうだるような暑さの中、ぼくはとある場所に来ていた。片手には「無料招待券」を握りしめ、そして見上げた先には「謎解き動物園」と書かれた看板。そう、ここは以前街中で偶然出会った老人に半ば無理やり招待された、文字通り謎の施設だ。
あのときは老人のあまりの怪しさ故に行く気などさらさら起こらなかったのだが、時が経つごとにむくむくと好奇心が芽生え始め、最終的には“無料”という言葉の強さに心動かされて足を運んでしまった。
というわけで今まさにその施設の目の前に立っているのだが、その外観は予想通り怪しい。自宅を改装して作ったという「謎解き動物園」の造りは普通の一軒家そのものだが、周囲にはツタがうっそうと生い茂っており、外壁はところどころ剥がれかけている。動物は動物でも、コウモリやヘビが似合いそうな雰囲気だ。極めつけに、入り口の門には頑丈そうな入力装置付きの錠前がつけられている。これでは中へ入ろうにも入れないな、と途方にくれていると、ちょうど先月も耳にした覚えのある笑い声が聞こえてきた。
- 老人
- ふぉっふぉっふぉ… 本当に来てくれたんじゃな! 歓迎するぞい
- とある探偵
- あの、門に鍵がかかっていて中に入れないんですが…
- 老人
- そりゃ、“謎解き動物園”じゃからな。謎を解かんと門は開かないぞ。ほれ、足元を見てみぃ
- 視線を下に落とすと、そこには暗号らしきものが書かれていた。
捜査を開始する