


#86
春は温泉、スプリング
2025.03.28
- 長かった冬もいよいよ終わりを迎え、桜の開花情報も耳に入ってくる今日この頃。コート要らずで出かけられる今日はまさに、行楽日和といったところだ。ぼくは家から電車で2時間ほどのとある温泉街に来ていた。実はこの温泉には昨年も来たのだが、日帰りも可能な距離にこうした観光スポットがあるというのは何とも嬉しい。ぼくと同じようにつかの間の休息を求めて来た観光客たちで、メインストリートはごった返していた。
定番の温泉まんじゅう屋や土産物屋、流行りのスイーツを売っているお店などなど、歩いて眺めているだけでも非日常的な気分が味わえる。遠くを望めば有名な城の天守閣がちらりと見えたりもして、ずいぶん遠くまで来たのだなあと大げさに旅情に浸ったりもできる。
ぼーっとしながら商店街をぶらぶらしていると、なんだか趣深い路地を見つけた。こういう一本外れた道にこそ、一期一会な発見があるというもの。勘を頼りに路地に入ってみると、さっそく雰囲気のある商店に出くわした。店頭には、店主とおぼしきご老人が立っている。
- とある探偵
- ごめんください、こちらは何のお店なんですか?
- 老人
- ……
- とある探偵
- (聞こえなかったのかな?)あの、ごめんください!
- 老人
- ドキドキ謎解きタイム~~~~~~!!!
- 急に大声を出されてびっくりしたぼくは、思わず固まる。
- 老人
- どれ、この謎を解いてみぃ!
捜査を開始する