#87
ランドセルはタイムカプセル
2025.04.25
- 4月。学校や仕事など、新しい環境での生活が始まった人も少なくないだろう。ぼく自身はここ何年も代わり映えのしないライフスタイルを貫いているが、昼過ぎに事務所の窓から道路を見下ろせば、ピカピカの新1年生たちがにぎやかに下校している様子を見ることができる。彼らの体格にはまだ少し大きすぎるランドセルは、傷ひとつなく新品そのものだ。
それにしても、最近のランドセルは本当にカラーバリエーションが豊かだ。聞いた話によると、なんでも女の子の間では定番の赤を差し置いてパープルやピンクなんかが人気らしい。自分の世代では色を選ぶ余地なんてものはほぼなかったので、なんとも羨ましい限りだ。まぁどうせすぐに扱い方が乱暴になり、高学年になったら使わなくなる子もチラホラいるのだろうけど。
そんなランドセルを、大人になった今でも保管しておいているという人はおそらくまれだろう。しかしぼくは、記念として未だにクローゼットにランドセルをしまっておいてあるのだ。人に話すと驚かれることも多いが、単純に捨てるタイミングもなかったのでここまで放置されているという次第だ。
何年も触っていなかったが、久しぶりに開けてみようか。そう思い立ち、クローゼットからホコリを被ったランドセルを取りだしてきた。さびついた金具を捻り、カバーを開く。中は当然空っぽ……かと思われたのだが、何やら紙切れが入っていた。これは一体……?
捜査を開始する