空前のサウナブームと言われて久しい。年々新しい温浴施設があちらこちらにオープンしているし、有名なスポットは常に客足が途絶えないという。またサウナも多様化が進んでおり、超大規模な施設から、“ソロサウナ”を楽しめる個室型のものまで、楽しみ方も実にさまざまだ。

ある日のこと、ぼくの探偵事務所の近くに何やら新しいサウナ施設ができたとのウワサを聞きつけたので、仕事終わりに立ち寄ってみることにした。どうやらそこはいわゆるソロサウナを楽しめる完全個室タイプのサウナで、フロントで受付を済ますとスタッフの方に奥の部屋へと案内された。シャワーや休憩スペースも完備の個室で、なかなかくつろげそうだ。

早速、すでに暖まっているサウナ室に入ってみる。心地よいヒノキの香りが漂う室内はほどよい高温で、数分も経つとすぐにじんわりと汗がにじんできた。リラックスした状態で完全に心が解き放たれ、研ぎ澄まされたような、ぼんやりしたような不思議な感覚に包まれる。この感覚こそが、ぼくが思うサウナの魅力だ。

10分ほど経ったので、一度シャワーを浴びようと腰を上げた。そしてサウナ室のドアを押してみたのだが、何故かピクリとも動かない。再度ドアを強い力を込めて押したが、やはり開かない。ヤバい、閉じ込められてしまったのか? 焦って辺りを見回してみると、壁に1枚の紙が貼ってあることに気付いた。

捜査を開始する