頭がぼーっとして怠(だる)く、鼻が詰まっており、食欲もほとんどない。これは完全に風邪をひいてしまったようだ。先日エアコンが壊れて寒い部屋で数日過ごしてしまったのが祟(たた)ったのか、それとも最近会った依頼人の誰かからもらってしまったのか、昨日うっかりソファで昼寝をしてしまったからか、正直心当たりはいろいろとある。幸い今日はアポイントもないため早めに仕事を切り上げることにした。それにしても一刻も早く治さなければならぬ。薬でも飲んで、さっさと寝ることにしよう。

自室に戻り、棚から薬を探す。以前風邪をひいたときに薬局で買ったものがあったと思うのだが…。

とある探偵

確かこの辺だったような…

すると、本が並んでいる奥の方に見覚えのある薬の瓶を見つけた。しかしその瓶の蓋を開けてみると、残念ながらその中に入っていたのは錠剤ではなく、折りたたまれた白い紙だった。そしてそれを取り出して広げてみると、そこにはぼく自身の筆跡で謎解きらしきものが書かれていた。

とある探偵

そういえば…!

うっすらとした記憶だが、ちょうど1年前に風邪をひいてしばらく仕事を休んでいたときにあまりに暇でやることがなかったため、謎を作って薬の空き瓶に入れておいたんだっけ。しかし内容についてはまったく記憶がないぞ。一体ぼくはどんな謎を作ったんだ…?

捜査を開始する