#95
クリスマスは誰にもやってくる
2025.12.26
- 今日はクリスマスイブ。1年がたつのはあっという間だ。事務所の窓から見える通りには、厚手のコートに身を包んだ人々が行き交い、小さな紙袋やリボンのついた箱を抱えている。ぼくはと言えば事務所でひとり、くたびれた書類の整理や、普段まったく手をつけない棚の裏のほこり落としなんかをして過ごしていた。年の瀬になると、なぜか急に片付けたくなるのは人間の性なのだろう。
すっかり日も暮れ、片付けがひと段落ついたところでふと玄関のドアを開けると、小さな段ボール箱がひとつ置かれていた。宛名を見ると、どうもぼくの名前ではない。とはいえ、実はこれはそれほど驚くようなことでもない。というのも、この建物は名前が似た別のビルとよく間違われるのだ。外観も微妙に似ているうえに、同じ通り沿いに建っているものだから、初めて来る配達員なら混同してしまうのも無理はない。実際、これまでにも宅配便だけでなく、来客や間違い電話まで、いろいろな誤解を経験したことがある。この箱もきっとその類いだろう。そう思いながら持ち上げてみると、さほど重くはなかった。中身は衣類か、雑貨か、それとも食品か。固いものが転がる音はしない。きっと誰かが大切な相手へ贈る品なのだろうと想像すると、送り主の気持ちが迷子になっているような申し訳ない感覚になった。
とりあえず、中身を確認する前に送り状をきちんと見よう…そう思って箱の上面に目を移したところ、何やらアルファベットと矢印が書かれた謎解きのようなものが貼られていた。
捜査を開始する