事件!謎

ここはとある探偵事務所。

ここでは時々おかしな捜査依頼がやってくる。解決するには、優秀な団員力・ヒラメキとトキメキが必要だ。

#103
ボタンのないエレベーターからの脱出
2026.08.28

今年の夏も、とにかく暑い。
毎年「今年は観測史上最高気温です」なんてニュースを耳にしている気がするが、今年はその言葉にも妙な説得力があった。照りつける日差しは朝から容赦なく、アスファルトは陽炎(かげろう)を立ち上らせている。少し歩いただけでシャツが背中に張り付き、日陰を見つけるたびに吸い寄せられてしまう。
探偵という仕事は、机に向かって推理している時間だけではない。依頼人のもとへ向かったり、聞き込みをしたりと、意外と外へ出る機会も多い。だから夏は毎年、事件よりも暑さとの戦いになる。

その日も打ち合わせを終え、駅まで歩いている途中だった。
とある探偵
……さすがに少し休もう
喉も渇いてきたし、このまま歩き続けるのは少々危険だ。そう思って辺りを見回すと、大きなオフィスビルが目に入った。ロビーは一般にも開放されているようで、人が自由に出入りしている。冷房もよく効いていそうだ。ぼくは迷わず中へ入った。自動ドアが閉まると同時に、ひんやりとした空気が全身を包み込む。
とある探偵
生き返った……
思わず声が漏れる。ロビーではパソコンを広げて仕事をしている人や、待ち合わせらしき人たちが思い思いの時間を過ごしていた。外の暑さが嘘のように静かで、ゆったりとした空気が流れている。せっかくだから、最上階に展望スペースでもあれば景色でも眺めて帰ろうか。そんな軽い気持ちでエレベーターに1人で乗り込んだ。
とある探偵
あれ……?
扉が閉まったあとで気付いたが、エレベーター内にあるはずの操作盤が見当たらない。普通なら並んでいるはずの階数ボタンも、開閉のボタンも、非常用のボタンさえない。何度見直しても、何もない。故障しているのかとも思ったが、「点検中」の札も貼られていない。
途方に暮れはじめたその瞬間、正面の壁いっぱいに光る文字が浮かび上がった。
この謎を解いてください

捜査を開始する

とある探偵


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