


#52
怪しすぎる段ボール
2022.05.27
- 最近の探偵事務所にはこれといって依頼らしい依頼もなく、今日もぼくは朝からのんびりテレビを見て過ごしている。ちょうどやっていた料理番組ではおしゃべりな女性芸人がカレーを作っていたが、ぼくはソファに寝そべって画面を眺めるだけで実際に作りはしない。毎日が平和なことは何よりだが、ここまで張り合いのない毎日だとさすがに退屈してきてしまうのも事実だ。何か事件でも起こらないかなと不謹慎なことを考えていた矢先、突然玄関のベルがなった。
ベルを鳴らした主は宅配便の業者だった。特に何かを注文をした覚えも、それ以外に思い当たる節もない。とりあえずサインをして受け取ったのは、両手で抱えないと持てないほど重たい段ボール箱だった。宛先は間違いなくぼくの名前だが、差出人の名前も内容物に関する情報も箱には書かれておらず、さすがに怪しむ。
何か危険なものでも入っているのでは…? もしかして爆弾だったりして… 妙な考えが頭をよぎるが、誰かの恨みを買っているような心当たりも当然ない。
開封するかどうか考えあぐねていると、箱の外側に茶封筒が貼り付けられていることに気が付いた。表面には「中身のヒントです」と手書きされている。封筒を開けて中身を取り出してみると、2枚の紙が入っており、どうやらそれぞれ謎が書かれているようだ。この謎を解くと、段ボールの中身がわかるようになっているのかもしれない。
ぼくはまず1枚目の謎に取りかかることにした。それにしても、封筒の筆跡をどこかで見たことがあるような気がする…。
捜査を開始する